出光興産の企業研究

今回ご紹介するのは、創業から100余年、石油をはじめとした総合エネルギー企業。「人間尊重」の経営理念で有名な出光興産株式会社。

この記事を読んでいる方の中には、出光興産への就職を目指している学生もいらっしゃるかもしれません。
面接で問われた時に、「なぜこの会社なのか？」をしっかりと語れるように、この記事では、以下の3つの項目から企業研究を行っていきます。

（1）会社概要　（2）「企業」を知る　（3）「採用情報」を知る

他のライバルとの差を付けるためにも、この記事を読んでしっかりと企業研究をしていきましょう。 ここでは、出光興産の経営理念や同じ石油業界に属する競合会社との比較、最近のニュースなどを通じて、「数ある石油会社の中で、なぜ出光興産なのか？」という質問への対策を考えましょう。

出光興産について深く知るために、まずは出光興産の経営理念を確認しましょう。そこから出光興産が求める人材が見えてくるはずです。企業が求める人材を知ることで、あなたが何をアピールすべきかが分かります。
出光興産の経営理念は、以下の通り。
「当社グループの経営理念は、以下の「経営の原点」「経営方針」「行動指針」で表しています。
「経営の原点」に掲げた『人間尊重』の考え方のもと、「経営方針」に示したステークホルダーとの約束を果たしていくことで持続可能な社会の実現に貢献します。
また、社員はそれを実現するために、「行動指針」にのっとり自分の役割を果します。

経営の原点「出光は、創業以来、『人間尊重』という考えを事業を通じて実践し、広く社会で期待され信頼される企業となることをめざしています。」

経営方針「新しい価値の創出と提供（お客様への約束）、社会への貢献（環境・社会への約束）、確かな成果の還元（株主への約束）、パートナーとの協働（ビジネスパートナーへの約束）、自己成長・自己実現の追求（社員への約束）」

行動指針「行動指針顧客第一、倫理観、チャレンジ、一致協働、自己完結、自由闊達・人を育てる、地域との融和」
（出光興産　会社情報>経営理念ページより引用）

企業ページでも乗せているように、出光興産が新入社員に求めるのは「人間尊重」に共感し、「尊重される人間」になることを目標に努力する人であり、同じ価値観の下で一致協力していける人。
具体的に求める資質は「力を発揮するためにベースとなる力」、「取り組み姿勢」、「価値観」の3点です。

ですから、経営理念に共感した上で、皆さんがアピールすべき点は以下の3つです。
・今までの知識と能力（特に技術系は専門能力）が会社かつ社会のためにどのように役立つのか。（グローバル化を進めている企業なので、グローバルの視点からのアピールが好ましいと考えられる）
・目標達成のために個人としてどのように考え、行動に移したのか。自分の力をいかに十分に発揮させたか。
・チームとして仲間とどのような目標を立て、さらにどのように達成したか。（人間尊重を経営原点に掲げる企業なので仲間への思いやりを感じさせるアピールが望ましいと考えられる）

次に、石油業界の中で出光興産と競合会社とを比較してみましょう。
出光興産の競合会社といえばコスモ石油が挙げられます。
出光興産とコスモ石油はどのように違うでしょうか。

出光興産は、同社を含む子会社92社と関連会社46社でグループを形成しており、燃料費や基礎化学品を中心とする「基盤事業」をはじめ、潤滑油、機能化学品、機能性樹脂や有機EL等の電子材料を扱う「高機能材事業」、さらに石油開発や石炭、ウラン、地熱等の「資源事業」をグローバルに展開しています。
そんな同社グループを取り巻くビジネス環境を見てみましょう（平成28年3月期）。
国内における石油製品需要は、暖冬の影響により灯油や電力向け重油の需要が減少し、石油製品全体では前年度を下回る結果に。一方で石油化学製品需要は、ほぼ前年度並みに。円安を背景とした輸入数量減少に伴い国内生産は堅調に推移しました。
このような環境下における同グループの連結売上高は、原油価格の下落などにより前年同期比22.9％減。 また、営業損益は、原油価格の下落による在庫評価影響や石油製品マージンの縮小などで196億円減となったものの、 原油価格下落に伴うコスト減などの影響で、前年同期比では852億円増となっています。
今後は、昭和シェル石油との経営統合により、「屈指の競争力を有する業界のリーディングカンパニー」「日本発の新しいエネルギー企業」を目指しており、特に両社の持つ「太陽光、バイオ、風力、地熱」という再生可能エネルギーの発展に大きな期待が寄せられています。

対するコスモ石油は、コスモエネルギーホールディングスの一員で、同グループは子会社64社および関連会社36社により構成されています。 同グループの主な事業は、原油の自主開発から輸入・精製・貯 蔵・販売などで、「石油事業」「石油化学事業」「石油開発事業」等を営んでいます。
財務状況は、平成28年3月期の売上高は原油価格の下落に伴い、前期比で約26%減の連結2兆2,443億円で出光興産よりも大きく下回る結果に。 さらに、原油価格の下落による石油開発事業の販売利益減少等で、営業損失は297億円（前期営業損失384億円）となっており、厳しい経営環境下に置かれている状況が伺えます。

また、近年の業界トレンドも見ておきましょう。
石油元売りの業界再編が注目される中、平成29年4月に大きな経営統合が予定されています。
まず、売上高1位のJXホールディングス（新日本石油、新日鉱グループのジャパンエナジーや日鉱金属）と、3位の東燃ゼネラル。そして、2位の出光興産と5位の昭和シェル石油が統合することで、それぞれ売上高14兆円と8兆円規模となり、業界内に2大勢力が誕生します。
今回の経営統合は、業績が好調な企業同士のものとは異なり、M＆Aによって経営の行き詰まりを解消し、攻勢に回りたいという意思が見られるとのこと。
例えば、JXホールディングスと東燃ゼネラルの統合では、最適な石油と石油化学の一体化が、一方、出光興産と昭和シェル石油の統合からは、太陽光、バイオ、風力、地熱という再生可能エネルギーの発展など、M＆Aによるシナジー効果が期待されています。

ここまで出光興産についての様々な情報を見てきましたが、最後は同社の過去の採用情報を知り、早めの対策準備を行っていきましょう。 選考フ